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歯科コラム

虫歯と歯周病の両方にかかった場合、治療の優先順位はどうなりますか?

2018年07月16日

中央区月島勝どきの歯医者さん、YUZ DENTAL tsukishimaです。
今回のテーマは「虫歯と歯周病の治療の優先順位」です。
虫歯と歯周病の両方にかかってしまうというのは、決して稀なケースではありません。

もちろんどちらも治療が必要ですが、虫歯と歯周病では治療方法が全く異なるため、
両方の治療を同時に行うことはできません。このため、どちらか一方の治療を優先することになります。
ここでお伝えするのは、そのようなケースにおける治療の優先順位についてです。

基本は歯周病治療を優先

担当の歯科医の治療方針にもよりますが、虫歯と歯周病では一般的に歯周病治療を優先します。
と言うのも、歯周病は歯肉の病気であり、進行することで歯を支える歯槽骨が溶かされます。
歯肉というのは歯にとって土台ですから、歯周病になると土台が不安定なことになるのです。

土台が不安定な状態では歯の治療が難しく、すなわち虫歯の治療がしづらくなってしまいます。
このためまずは歯周病を治療して、土台を安定させた上で虫歯を治療するのです。
これは、建物の修理をイメージすると分かりやすいと思います。

土台が不安定で建物が崩れている場合、建物を先に修理しても不安定な土台のせいで再び建物が崩れます。
ですから、この場合は先に土台を修理して安定させ、それから建物を修理しなければなりません。
歯科の治療もこれと同じことが言え、まずは「土台=歯周病」を治した上で「建物=虫歯」を治すのです。

虫歯治療を優先する場合

一般的に虫歯よりも歯周病治療を優先しますが、そうではなく虫歯治療を優先するケースもあります。
それは虫歯の症状によって痛みがある場合で、この場合は痛みの解消…すなわち虫歯治療が優先されます。
つまり、治療の優先順位は患者さんの負担を減らすことも当然考慮しているのです。

また歯周病治療を優先すると言っても、それは歯周病治療を最後まで終わらすとは限りません。
例えば「歯周病治療→土台がある程度安定→虫歯治療→歯周病治療の仕上げ」のように、
治療の精度と患者さんの負担を考慮して、臨機応変にそれぞれの治療を行うのが基本です。

このため虫歯と歯周病の両方を治療する場合、虫歯の痛みが辛い時は正直にそれを歯科医に伝えましょう。
そうすれば、歯科医はその点を考慮して虫歯治療を優先してくれますし、
虫歯治療を優先したからと言って歯周病に大きく影響するような事態にはなりません。

虫歯と歯周病の治療方法

虫歯と歯周病の治療方法は全く異なりますが、それぞれどのような治療方法があるのでしょうか。
1つ共通しているのは、虫歯も歯周病も進行の度合いによって治療方法が異なることで、
もちろん進行していない…つまり初期の虫歯や歯周病ほど治療方法も簡単なものですみます。

虫歯の治療方法

基本は歯を削って詰め物で処置することですが、完全に初期の虫歯なら削らずに治せることがありますし、
削ったとしても歯の表面のみですむため治療で痛みを感じることはありません。
ただし進行するに比例して削る範囲も深くなるため、その場合は痛みを感じることもあります。

とは言え、痛みを感じるほどの治療が必要な場合は麻酔を使用するため、
実際に痛みを感じることはほとんどありません。また、一定以上進行している場合は削るだけでは治せず、
神経の除去や根菅内の清掃を行うための根管治療が必要です。

歯周病の治療方法

歯周病治療の基本は口の中を清潔にすることですから、
歯石の除去や患者さん自身によるプラークコントロールを行います。
ただし、歯周病が一定以上まで進行すると歯肉を切開するフラップ手術が必要です。

これは歯周ポケットの中を清掃するためで、歯周病になると歯周ポケットの中にプラークや歯石が溜まります。
本来ならスケーラーなどを使用して外側から歯周ポケットの中を清掃できますが、
進行して歯周ポケットが深くなると、歯肉を切開して内側からしか歯周ポケットの中を清掃できなくなるのです。

虫歯と歯周病の予防方法

症状、治療方法ともに全くの別物である虫歯と歯周病ですが、予防方法においては全く同じです。
特に虫歯と歯周病の両方にかかってしまった人は、
今後のために治療の優先順位だけでなく予防方法も知っておきましょう。

・精度の高い歯磨き
歯磨きは虫歯と歯周病予防の基本ですが、歯磨きにおいて重要なのは頻度ではなく精度です。
デンタルフロスや歯間ブラシを使用して、プラークの除去率の高い歯磨きを実践しましょう。

・生活習慣の改善
虫歯も歯周病も細菌に感染することで発症するため、予防するには身体の免疫力の高さが重要です。
生活習慣を改善し、疲労やストレスによる身体の免疫力低下を解消しましょう。

・歯科医院の定期検診
定期検診のブラッシング指導によって歯磨きの精度が高まります。
さらに歯のクリーニングなど、虫歯や歯周病予防につながる治療を受けることができます。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、虫歯と歯周病の治療の優先順位についてまとめます。

1. 基本は歯周病治療を優先 :土台を安定させるため、基本は歯周病治療を優先する
2. 虫歯治療を優先する場合 :虫歯の痛みがある場合、痛み解消のために虫歯治療を優先することがある
3. 虫歯と歯周病の治療方法 :それぞれ治療方法は異なるが、進行するほど大きな治療が必要になる
4. 虫歯と歯周病の予防方法 :精度の高い、生活習慣の改善、歯科医院の定期検診

これら4つのことから、虫歯と歯周病の治療の優先順位について分かります。
基本的には歯周病治療を優先しますが、だからと言って虫歯の痛みを我慢してはいけません。
治療の優先順位は患者さんの負担を解消することを第一に考えて決めるため、
虫歯の痛みがあれば、それを歯科医に伝えることでまずその痛みを解消するための治療を行えます。

月島 勝どき 歯医者なら『YUZ DENTAL tsukishima』