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歯科コラム

最先端の歯周病の治療方法にはどんなものがありますか?

2018年09月21日

中央区月島勝どきの歯医者さん、YUZ DENTAL tsukishimaです。
今回のテーマは「最先端の歯周病の治療方法」です。
歯科の医療技術は日々進歩しており、以前では想像できなかった治療が可能になっています。

例えば、インプラント治療は人工の歯の根を再現することで、入れ歯にはない安定性を実現していますし、
目立つ銀歯の詰め物や被せ物も、今ではセラミック治療で審美性の高さを実現しています。
そして、歯周病治療においてもこうした技術の高い治療方法が存在します。

PDT治療

最新のバイオテクノロジー治療で、光力学療法とされるものです。光感受性物質を投与し、
レーザーなどによる波長の光を照射して投与した光感受性物質に薬理作用をもたらします。
この方法は歯科治療に限ったことではなく、肺がんなどの治療においても現在応用されています。

流れとしては歯周ポケットの溝にバイオジェルを注入し、レーザーを照射して光殺菌します。
治療内容としては一見難しく思うでしょうが、
「バイオジェルの注入→レーザーの照射」のたった2ステップのみで歯周病菌を駆除できます。

・PDT治療の問題点
PDT治療の問題点は、そもそもPDT治療に対応した歯科医院は少ないことです。
また、治療においても基本治療を終えてから行う必要があるため、
歯周病になった時点ですぐにPDT治療を行うのは不可能であり、一定時期までは従来の治療が必要です。

歯周内科治療

歯周病は細菌による感染症であり、その点だけに注目すれば風邪と同じ特徴を持っています。
風邪は薬で治すことができますが、歯周病も風邪と同じ特徴を持っているなら薬で治せるのではないか?
…それが歯周内科治療の発想の元になっています。

つまり、歯周内科治療とは薬の力で歯周病を治す治療方法です。
顕微鏡やデジタルパノラマレントゲンを使用して患部の細菌の状態を確認し、
それにあった薬の服用によって歯周病を治します。

・歯周内科治療の問題点
歯周内科治療の問題点は、PDT治療と同じで対応している歯科医院が少ないことです。
また、風邪と違って歯周病は治った後も再発する可能性があるため、
治療して終わりではなく治療後も定期的な検診を受けて予防しなければなりません。

骨の再生療法

歯周病が進行すると歯槽骨が溶かされてしまいますが、溶かされた歯槽骨が再生することはありません。
しかし、骨の再生療法によって歯槽骨の再生を促すことができ、
その方法として「GTR法」と「エムドゲイン法」の2つの方法があります。

GTR法

「溶かされた歯槽骨の再生を促す」という点で新しい治療方法のイメージがありますが、
実はGTR法は1980年代に登場した治療方法です。
歯槽骨が溶かされた箇所に医療用のゴアテックスの皮膚を設置して、歯槽骨の再生を促します。

ゴアテックスの皮膚の設置には歯肉を切開する必要があるため、治療の中で手術を行います。
しかし日本人はこの方法が不向きと言われており、
それは日本人の歯肉は薄いため、手術の難易度が高くなるからです。

エムドゲイン法

エムドゲインとはスウェーデンの豚の歯の芽から抽出できるタンパク質ですが、
日本の厚生労働省からも承認されているため、安全性における心配は全くありません。
治療方法はGTR法と似ており、歯肉を切開して患部にエムドゲインを塗布、その後再び歯肉を縫合します。

これによって患部の環境が初めて歯が生えた時と同じ環境になり、
再び骨を歯の周囲に呼び込んで再生させることができるのです。
手術の難易度はGTR法よりも簡単ですが、一方で対応できる症例は少なくなっています。

・GTR法とエムドゲイン法の問題点
GTR法とエムドゲイン法には共通した問題点があり、まず治療に対応した歯科医院が少ないことです。
さらに自由診療となるため費用が高く、再生においても完全に元どおりになるわけではありません。
つまり確実に骨を再生できるとは限らず、再生できた場合も元どおりになるとは限らないのです。

…GTR法やエムドゲイン法などの骨の再生療法は、正確には歯周病治療の一貫ではありません。
希望した場合に受けられる治療であり、そのため自由診療となっています。
このため歯周病で歯槽骨が溶かされた場合も、歯周病治療の流れの中ではそのままの状態になります。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、最先端の歯周病の治療方法についてまとめます。

1. PDT治療 :光力学療法とされるもので、レーザー照射によって歯周病を治療する方法
2. 歯周内科治療 :薬の力で歯周病を治す方法。風邪薬で風邪を治すように、薬を飲んで歯周病を治す
3. 骨の再生療法 :GTR法やエムドゲイン法などがあるが、全ての症例に対応できるわけではない

これら4つのことから、最先端の歯周病の治療方法について分かります。
こうした治療方法があるものの、歯周病治療の基本はあくまで歯石の除去や口の中のクリーニングです。
また、最先端の治療方法はいずれも問題点があり、その意味でも治療に頼りすぎてはいけません。
どんな治療方法が存在したとしても、やはり歯周病は予防しなければならないのです。

月島 勝どき 歯医者なら『YUZ DENTAL tsukishima』