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歯科コラム

虫歯なのに歯が痛くないことってあるのですか?

2019年01月07日

中央区月島勝どきの歯医者さん、YUZ DENTAL tsukishimaです。今回のテーマは「虫歯と歯の痛み」です。歯の痛みの一切ない方が定期検診を受けたとして、そこで虫歯と診断されたらどうでしょうか。

おそらくその方は歯の痛みがないため、虫歯の診断に納得できないかもしれません。しかしこのようなケースは稀ではなく、実際に「虫歯=歯が痛む」とは限りません。そこで、ここでは虫歯と歯の痛みをテーマにした説明をしていきます。

虫歯で歯が痛む理由

そもそも、なぜ虫歯になると歯が痛むのでしょうか?…これは歯の構造が関係しています。歯の構造として中心になるのは象牙質ですが、象牙質は剥き出しなっているわけではなく、歯の表面はエナメル質に覆われており、このエナメル質は歯を刺激から守っています。

例えば食事で冷たいものや熱いものを食べますが、こうした温度も象牙質にとっては痛みを感じるほどの刺激になります。しかしそれを感じないのは、エナメル質が象牙質を保護しているからです。

ではここで話を虫歯に戻すと、虫歯で歯が痛むのはその虫歯が象牙質まで進行しているためです。細菌が悪さをしているのはもちろんですし、象牙質まで虫歯が進行した場合、虫歯の穴は象牙質まで達していますから、冷たいものや熱いものによる刺激も感じてしまうのです。

歯が痛まない虫歯のケース

虫歯になっても歯が痛まないケースとしては、次の3つが挙げられます。

初期の虫歯

初期の虫歯は歯の表面だけ虫歯になった状態です。上記で説明したように歯の表面はエナメル質で保護されていますから、例え虫歯になっても痛むことはなく、その他の自覚症状もほとんどありません。

進行して神経が死んでしまった虫歯

虫歯が象牙質まで進行すると痛みを感じるようになり、さらに進行すれば神経まで虫歯菌に侵されます。そうなると痛みは激痛になりますが、その後は一変して全く痛まなくなります。これは虫歯の進行によって神経が死んでしまったためで、神経を失うことで感覚も失われてしまうのです。

神経を失った歯の二次虫歯

最初の虫歯の時に何らかの理由で神経を失った場合、治療したその歯が再度虫歯になっても一切痛みを感じなくなります。歯の神経は再生できないため、例え治療しても感覚が失われたままになるからです。

…「進行して神経が死んでしまった虫歯」においては、虫歯を放置した末のことですから自覚があるでしょう。問題はそれ以外の2つのケースで、「初期の虫歯」も「神経を失った歯の二次虫歯」も自覚できず、そのため虫歯を進行させてしまう可能性が高くなります。

定期検診の重要性

痛みのない虫歯があるという事実から言えるのは、「歯が痛くない=歯が健康」とは限らないということで、つまり歯の痛みの有無は歯の健康を判断する根拠には全くならないのです。と言うことは、仮に今あなたの歯が痛くないとしても、実は虫歯が発生しているかもしれないことになります。

ではどうやって歯の健康状態が正確に分かるのか?…それは歯科医院で定期検診を受けることです。定期検診では歯科医が口の中の健康状態を確認しますから、歯の健康状態が正確に分かりますし、例え痛みのない虫歯でも確実に発見してその時点で治療が可能です。

また、定期検診を受けること自体、虫歯の予防効果を高めることになります。歯のクリーニングでプラークや歯石を綺麗に除去できますし、ブラッシング指導や生活習慣改善のアドバイスは、自身のプラークコントロールを高める効果があります。

歯が痛くなってからの治療では遅い

虫歯の場合、歯が痛くなってすぐ歯科医院に行ったとしても治療のタイミングとしては遅いです。と言うのも、歯が痛くなった時点でその虫歯は最低でも象牙質まで進行しているからです。もちろん治療はしなければなりませんが、歯が痛くなってからの虫歯治療は早期治療とは言えません。

虫歯の早期発見と早期治療を考えるなら、それは歯が痛くなる前…つまり初期の虫歯の時点でそれを発見して治療しなければなりません。歯が痛くなってすぐ歯科医院に行っても、「虫歯が進行している」と診断されるのはそのためです。

とは言え、歯が痛くない時点で虫歯に気づくのは正直難しいと思います。なぜなら、そもそも歯が痛くなければ歯科医院に行こうと考える方は少ないからで、実際には定期検診を受けていないと初期の虫歯の時点で発見して治療するのは難しいでしょう。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、虫歯と歯の痛みについてまとめます。

1. 虫歯で歯が痛む理由 :虫歯がエナメル質の保護のない象牙質まで進行すると歯が痛む
2. 歯が痛まない虫歯のケース :初期の虫歯、進行して神経が死んだ虫歯、神経を失った歯の二次虫歯
3. 定期検診の重要性 :歯の痛みの有無は歯の健康状態を判断する根拠にならない
4. 歯が痛くなってからの治療では遅い :歯が痛む時点でその虫歯は既に進行している

これら4つのことから、虫歯と歯の痛みについて分かります。初期の虫歯、神経が死んだ虫歯、神経を失った歯の二次虫歯…これらの虫歯では歯は痛みません。ですから、歯が痛くないのは虫歯がない根拠にはならないということになります。他の病気も含めると歯周病も歯に痛みを感じることはほとんどないですし、例え歯が痛くないとしても虫歯や歯周病が発生している可能性はあるのです。

月島 勝どき 歯医者なら『YUZ DENTAL tsukishima』