インプラント小冊子

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始めに・・・

この度は「インプラント小冊子」をお読み頂きありがとうございます。これをお読みになっているということは、あなたは少なからずインプラント治療に興味をお持ちだと思います。

「インプラントって、なんだか怖いわ。」
「インプラントって痛くないの?」
などなど、様々な不安や疑問が、おありだと思います。

初めての事で外科処置を伴う、しかも治療費も高額になるとすれば誰でも皆、不安や疑問が出てくるでしょう。
そのような患者様の疑問にお答えすることで、不安や心配が解消され、より詳しくインプラント治療についてご説明させていただくことによりインプラント治療についてのご理解がいただければ、という思いでこの本を書きました。

ちゃんとした知識を持ち、しっかりとした検査をすればいかにインプラント治療が安全な手術になるかを、これからご理解いただけるかと思います。

Ⅰ 私たちの思い

『YUZ DENTAL tsukishima』は、可能な限りできるだけ歯を削ったり抜いたりしたくはありません。できるだけあなたの歯で生活をして幸せな人生を過ごして頂きたいという考えをモットーに日々診療しております。

そもそも歯というのは、削ったり抜いたりするために生えてくる訳ではありません。物を咬みきっておいしく食事ができるようにしたり、お友達や知り合いと楽しく話したりして、快適な生活をするためにあるものです。それが虫歯になってしまったり、歯周病で歯を支えている周りの骨が無くなってしまった為に咬む力を支えられなくなって、保存することが患者さんの為にならずデメリットの方が多い場合に、やむなく削ったり抜歯となってしまうのです。

総義歯(総入れ歯)になってしまった方は、あなたご自身の歯が28本しっかりと全部揃っている時と比べ、咬む力が10%~20%程度しか無いと言われています。また咀嚼(食べ物を良く咬む)というのは、脳への血流量が飛躍的に増し、痴呆症の予防になるそうです。

一度失った歯は元には戻りません。しかし現在はインプラント治療という『第三の歯』を得る方法があります。

私たちは、そういった不幸にも歯を失ってしまった方々に、『第三の歯』を実感してもらい、「QOL(生活の質)」の向上を目指し、今から幸せな生活を歩んで頂きたいと思っております。

Ⅱ なぜ歯を失ってしまったのか?

では不幸にも抜歯となってしまった歯・・・ あなたはなぜ歯を失ってしまったのでしょう?
歯を失う原因には様々な理由があります。

グラフのように歯を失う理由の大半は虫歯と歯周病です。
あなたは、
「残念ですがこの歯はもう残すことができません。抜くしかありませんね。」
と歯科医師に言われ、ショックを受けたご経験はありませんか?

よほどの良くない歯科医院で無い限り、残すことが可能な歯を抜くことは、まずありえません。できる限り保存に努めるはずです。
自分の歯よりも優れた治療というのは、現在のところありません。当たり前のようですが、人工的のものでは自分の歯にはとうていかなうはずがないのです。

しかしながら虫歯が骨の奥の方まで進んでしまったり、歯周病で骨が溶かされて残っている他の歯の周りの骨をも巻き込んで溶かしてしまうような状態の歯は、残念ですが抜歯をお勧めいたすことになります。それはその歯を残すことにより患者さんのお口の中全体に悪影響を及ぼすことになるからです。

私たちは、可能な限り患者さんご自身の歯で健康的に生活して頂くのがベストだという信念の治療を心がけております。

しかしながら抜歯となってしまった場合には、その抜けた穴を誰かが補わなければなりません。その穴を補わずに放置すると、残された歯が移動したり伸びてきたりして、より多くの負担が他の歯にかかってきて、早い段階でせっかくの残っている歯も抜かなければならなくなってしまうからです。

Ⅲ インプラントって何?

インプラント治療の起源は、スウェーデンのブローネマルク博士がチタンと骨と強固にくっつくことを発見し、1965年から臨床応用されたものです。フィクスチャーと呼ばれるチタン性のボルト(人工歯根)を骨の中に埋め込んで土台を作り、その上に人工の歯をつけるという治療方法です。入れ歯やブリッジに比べると歴史はまだ浅く、50年足らずの歴史しかありません。

今ではインプラント治療も普及してきて、認知度も上がってきましたが、当時としては画期的な治療法であまり受け入れられはしませんでした。失った歯を補う治療法として確立されていた入れ歯の歴史は古く、日本最古のものは1538年に使用されたツゲの木製義歯(入れ歯)が確認されています。ブリッジにしても、最近までは間の歯を失ってしまった場合の治療法のセオリーとなっていました。しかし現在のインプラント治療は、CT撮影の発達により安全になり、また材料技術の発達により入れ歯やブリッジに取って代わり違和感がなく咬む力も回復でき、「第二の永久歯」「第三の歯」と呼ばれる様になり残っている他の歯を傷つけることがない治療法として確立されてきました。

Ⅳ 失った歯を補う3つの方法

前述の通り失ってしまった歯は、何かしらで補ってあげなければなりません。現在の治療法では、その補い方によって「義歯(入れ歯)」、「ブリッジ」、「インプラント」の3つの治療法にわかれます。この章ではその3つの治療法についてお話ししたいと思います。

義歯(入れ歯)

メリット

ブリッジに比べて歯を削る量が少なく、ほとんど歯を削らずにすみます。咬む力はある程度、回復できます。

デメリット

取り外し式のため、毎食後に外してご自分の歯と同じように磨く必要があります。前後の歯にバネ(クラスプ)がかかるので、審美性(見た目)はあまり良くありません。また義歯はブリッジと異なり前後の歯だけで咬む力を支えることができません。歯茎でも咬む力を支えなければならないため、「床」と呼ばれるものが、歯茎の上に乗ります。歯茎の上に乗った「床」は厚みがあるため、違和感があったり喋りづらくなったりする人もいます。歯茎は柔らかいので咬むと沈み込み、咬む力の回復はある程度になってしまい硬いものは咬みづらいです。

ブリッジ

メリット

固定式で着脱がないので、取り外しての清掃の手間がなく、咬む力もご自分の歯があったときのほぼ60%~80%ぐらいは回復でき違和感もほとんど無く咬めます。また被せる物や場所によっては義歯よりも審美性に優れます。

デメリット

無くなってしまった歯の両隣りの歯を削らなければならないため、特に前後の歯がまだ治療がされていない健全な歯の場合には、かなり多く削ることになります。また最低限の場合でも3本分の咬む力を2本で支えなければならないため1本の支える歯に対して1、5本分の力がかかり、支える歯の寿命が短くなってしまいます。歯が無い部分に汚れがたまりやすく取りづらいため虫歯になりやすくなってしまいます。無くなった歯の本数が多い場合にはできない場合もあります。

インプラント

メリット

基本的には固定式で着脱が無く、健全な両隣りの歯を削ることがないので両隣りの歯の寿命を延ばし、より審美的かつ機能的に回復でき発音や発声も問題なくできます。咬む力もあなたの歯があった時とほとんど同じぐらい回復ができます。咬む力があなたの歯と同じぐらい回復できると言うことは、失ってしまった所にかかる力を残っている他の歯で負担する必要が無いので、残っている歯の寿命を延ばすことに繋がります。歯の寿命が延びると言う事は、食事がしっかりとできるため体自信の寿命にも繋がっていきます。また咬む事により脳への血流が促進され痴呆症の予防になるとされています。

デメリット

インプラント治療は、チタン製の人工歯根を骨に埋め込みその上に被せ物を作っていく治療になるため、必ず「外科処置」が必要になります。この「外科処置」により多少の腫れ、出血があります。人工歯根が骨と結合することによって咬む力を回復する治療法なので、骨の量が極端に少ない方にはインプラント治療がお勧めできない場合があったり、全身的な疾患がある方などは、かかりつけの主治医の先生との連携が不可欠です。また健康保険の適応外の治療になるため比較的、高額な治療費がかかります。

Ⅴ インプラントの「可能性」

インプラントには、金や宝石、土地や株などといったようなものとは違い、そのもの自身に金銭的な価値があるわけではありません。 では「インプラント治療」というものには何が出来るのでしょう?「インプラント治療」の価値はなんでしょう?なぜ「インプラント治療」が良いのでしょう?答えは簡単です。

「QOL(生活の質)」を上げ、ご自身の生活を豊かにしてくれるという、かけがえの無い価値があるからです。

患者様ご自身の生活が豊かになれば、自然とご家族や周りの人々にも豊かさが伝わり、皆が豊かになっていき患者様ご自身の周り全体が豊かさで包まれていくと思いませんか?

ここからは今までお話してきたような、他の治療法に比べ良く物が咬めることや違和感が無い、審美性に優れているなどといった、具体的物理的なメリットだけではなく、他の視点や観点から見ていきインプラントの可能性や様々なメリットについてお話ししたいと思います。

平成17年のとある日の読売新聞に北海道大学の森田教授等の研究発表の話しが掲載されました。その記事によると、「歯を削って虫歯を取りきって治しても、かぶせ物や詰め物の平均的な耐用年数は7年程度」だそうです。

最初は小さい虫歯でも、治す回数が増えていくにつれ徐々にその範囲が大きくなっていき、詰め物からかぶせ物、かぶせ物からやがては抜歯となっていってしまいます。やはりできるだけ歯を削らないこと、天然の状態を維持していくことが、一生健康な歯を守っていくための第一歩ということになります。

基本的に動物は奥歯で物を咬みます。それは人間も同じです。永久歯の中で一番最初に生えてくる歯は奥から2番目の歯で、第一大臼歯と呼ばれその歯をよく使います。そのせいか虫歯にもなりやすく、治療の頻度も高い傾向にあります。次の図のように一番力がかかる歯がそれです。300Nと言うと1cmあたりにかかる力は約75Kg、ご自分の体重ぐらいの力が1本の歯にかかることになってしまうということになります。

人は1食あたり約500回ぐらい噛むと言われています。1年間にすると、どうでしょう?驚くことにその回数はなんと約54万回にもなるそうです。1本の歯に対してご自分の体重ぐらいの力が年間に54万回もかかってきたら・・・さらにブリッジや入れ歯といった残っている他の歯に助けを求めているような場合であれば、さらに負担は大きなものになっていきます。

神経が無い歯(神経の治療をされている歯)は、歯に栄養が行きわたらない為に硬く脆くなります。脆いところに力が加わって、後々には折れてしまいます。第二章の「歯を失う原因」にあげられている「破折(11%)」という部分の大半が、このような神経の無い歯で起こります。

Ⅵ 健康の秘訣

話しは変わって、とある都市の話しです。尾道市で以前に行われた実態調査のグラフがあります。80歳の時点での歯の本数と生活レベルの関係をグラフ化したものです。

これによると80歳の時点で歯の本数が「20歯以上残っている人」は「9歯以下で義歯(入れ歯)を入れていない人」に比べてほとんどの人が自立生活ができています。要するにほとんど全員の人が、誰の介助も無しに一人で生活ができるているということです。

身の回りの世話などを、ご兄弟の方や親戚、配偶者、特にお子さんに頼ることなく生活ができるているということです。

親ならば誰しも自分の子供の世話にはなりたくない、迷惑をかけたくないという気持ちはあるはずです。お子さんだけではなく、自分の恥ずかしい姿を他人には見られたくはないですよね?

歩くということに関してもそうで、やはり「9歯以下で義歯(入れ歯)を入れていない人」は約半数の人は自分一人では歩けなくなってしまっています。「噛める!」なんていう方はほとんどいらっしゃらないようです。

歯を1本削ると言う事は、連鎖的に歯の本数が徐々にどんどん減っていき、『1本の歯を削る→やがては抜歯』となり、最終的には総入れ歯になってしまい自立した生活が困難になるということにつながっていくのです。

しかし現在では、『1本の歯を削る→やがては抜歯→インプラント治療によって第三の歯を獲得』することにより、噛むことへの悩みが解消され生活の質が高まり、いつまでも元気で若々しくいられることが可能になったのです。

しかしインプラント治療にも、いくつかのデメリットはあります。

以前に、入れ歯を専門にしている先輩の先生にお話しをされたことがあります。その先生は「歯がなくなってしまった所にインプラント治療を行い失った歯を補うと、さもその歯があるかのような錯覚を患者さんに起こさせてしまう。そのインプラントが無くなったときのショックは計り知れないほど大きなショックとなってしまう。」

確かにその通りではあります。しかしそのインプラントが無くなってしまった時には、骨が治るのを待って再治療が可能なのもインプラント治療です。現在では再治療の際に骨が足りない場合でも、骨を増やす手術も一般的になってきました。手術法や材料の技術も日々進歩してきており、10年間での生存率は95%と非常に高い実績を出しております。ある資料によると都内のインプラント治療の平均金額は35万円だそうです。もし仮に10年間使用したとすると、1年で3万5千円、1月で約3千円、1日3食の食事をするとして1食あたりで考えると33円程度となります。

Ⅶ 予防とインプラント

よく、「インプラントは、どのくらい持ちますか?」というご質問をお受けします。歯科の治療と言うのは個人差が非常に大きく、一概になんとも言えないのが実際です。インプラントにしても例外ではありません。10年以上何事も無く過ごされた方もいらっしゃいますし、10年で撤去しなければならない方もいらっしゃいます。

そういったご質問を患者様から受けると、私は「人間が作ったものなので、一生物ではありません。ですが・・・」とお答えいたします。その後に「ですが・・・そのインプラントを活かすも活かさないも、メンテナンスしだいなのです。」と続けてお話しします。

インプラント自体は純チタン製ですので、生態親和性も良く、お口の中で非常に安定を保つ性質をしています。金属性ですので当然虫歯になることはありません。ですがそのインプラントは、周囲のご自分の骨で支えられているので、歯周病(インプラントの場合は「インプラント周囲炎」と呼びますが。)になってしまうことがあります。これはインプラントの周囲に歯石が付くことによって起こります。その歯石の中で細菌が繁殖し、その細菌が歯茎を腫らし骨を溶かしていき、最終的には歯周病で歯を抜かなければならない状態と同じようにインプラント自体が揺れてきてインプラントを取らなければならなくなります。

せっかくのインプラント治療なのですから、できるだけ長く使用したいのは当然です。

車もそうですが、買ったまま何のメンテナンスもしないで乗り続けていたら、何年でダメになってしまうでしょう?そうならないために1年点検や車検がありますよね?そこでインプラントにもメンテナンスがあります。インプラント周囲炎にならないために、ご自宅での丁寧な歯ブラシが重要ですし、歯ブラシだけでは取りきれない汚れや歯石を歯科医院で専用の器具で取り除くクリーニングが必要になってきます。

当院では、インプラント周囲の専門的なクリーニングの知識と技術を歯科衛生士全員に研修させております。

だいたい4カ月から半年に一度は必ずそのクリーニングをしメンテナンスをしていくことが、インプラントを長く使うために必要になります。