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歯科コラム

「歯が長くなるのは歯周病のサイン」と聞きましたが、どういう意味ですか?

2018年04月01日

中央区月島勝どきの歯医者さん、YUZ DENTAL tsukishimaです。
今回のテーマは「歯周病になると歯が長くなる理由」です。
歯周病は自覚症状が少ないですが、だからと言って全くないわけではありません。

例えば「歯が長くなる」…これは歯周病の自覚症状の1つと言われています。
とは言え、実際には歯が長くなることはないため、正確な表現としてこれは間違っています。
ではなぜこうした症状が起こるのか?正確な表現とはどういうことか?…今回はそれについての説明です。

歯周病で起こる症状

「歯周病で歯が長くなる」の理由を説明するには、まず歯周病で起こる症状を知る必要があります。
そこで説明すると歯周病は歯肉の病気あり、発症すると歯肉が炎症を起こします。
歯周病になると歯肉から出血しやすくなるのは、こうした歯肉に炎症が起こるからです。

しかしそれはあくまで初期段階の症状であり、進行すると全くの別の症状が起こります。
それは歯槽骨が溶かされていくことです。
歯槽骨は顎の骨なのですが、この歯槽骨は歯を支える役割を持っています。

つまり歯槽骨が溶かされるということは、イコール歯が支えを失うことになるのです。
歯周病になると歯が抜けてしまいますが、それは歯槽骨が溶かされて歯が支えを失うからです。
そしてこの歯槽骨が溶かされるという症状が、歯が長くなることに深く関係しているのです。

歯肉の退縮

ではここで、なぜ歯周病になると歯が長くなるのかについて説明します。
歯周病が進行して歯槽骨が溶かされると、その影響で歯肉が退縮してしまいます。
分かりやすく言えば、歯肉全体が下がってしまうのです。

私達が鏡で口の中を見ると、歯肉があってそこから歯が生えているのが確認できると思います。
この状態で歯肉が下がれば、歯の根元あたりまで見えるようになるでしょう。
例えるなら長袖から露出した手と同じで、袖をめくってしまえば手首が見えてしまうのと同じです。

そして歯の根元が露出することで、一見歯が長くなったように見えます。
これが歯周病になると歯が長くなる理由で、正確には「歯が長くなる」ではなく「歯が長くなって見える」です。
ではなぜ長く見えるのかと言えば、歯肉が下がって歯の根元が露出してしまうからです。

歯の根元が露出する問題

ここまでの説明をまとめると、
歯周病になると歯が長く見えるのは歯槽骨が溶かされて歯肉が下がるからです。
そして歯肉が下がることで歯の根元が露出してしまい、一見歯が長くなったように見えるのです。

さて、このように歯の根元が露出してしまうと3つの問題が起こります。
1つ目の問題は言うまでもなく、歯周病が進行して今度は歯がグラつくようになることです。
次に2つ目の問題は、歯が長くなって見えることで見た目も悪くなってしまうことです。

最後3つ目の問題は、知覚過敏が起こってしまうことです。
歯の根元あたりはエナメル質で覆われておらず、象牙質のように刺激に対して非常に敏感です。
このためささいな刺激で痛みを感じますし、冷たいものや熱いものの飲食でもしみてしまうのです。

歯周病以外の可能性

歯肉が下がって歯が長くなって見える場合、その原因は100%歯周病とは限りません。
確かに歯周病になっている可能性は高いものの、全く別の原因の可能性もあるのです。
そして、歯周病以外に考えられる原因としては以下のようなものがあります。

 歯磨きの圧力が強すぎる
いわゆるゴシゴシと強く磨きすぎのケースです。
強く磨きすぎると歯肉が傷ついてしまい、それを続けると歯肉が下がって歯が長くなって見えます。

 歯ぎしりや食いしばりのクセ
歯ぎしりや食いしばりは歯に過剰な力を掛けてしまい、歯を支える歯槽骨まで溶かしてしまいます。
そうすると歯周病同様に歯肉が下がり、歯が長くなって見えます。

 矯正治療の影響
矯正治療では抜歯が必要になるケースがありますが、それを無視してしまうと歯肉が下がることがあります。
これは無理やりな矯正治療の影響で歯槽骨から歯が飛び出してしまうからです。

原因を特定するには歯科医院で診察を受けるしかありません。
何が原因にしても歯肉に問題が起こっているのは確かなので、少しで

…歯周病以外にもこれらが原因で歯肉が下がり、その結果歯が長くなって見えることがあります。
も早く歯科医院に行きましょう。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、歯周病になると歯が長くなる理由についてまとめます。

1. 歯周病で起こる症状 :歯肉が炎症を起こす。進行すると歯を支えている歯槽骨が溶かされる
2. 歯肉の退縮 :歯槽骨が溶かされると歯肉が退縮して下がり、歯の根元が露出して歯が長くなって見える
3. 歯の根元が露出する問題 :歯周病が進行し続ける、見た目が悪くなる、知覚過敏が起こる
4. 歯周病以外の可能性 :歯磨きの圧力が強すぎる、歯ぎしりや食いしばりのクセなど

これら4つのことから、歯周病になると歯が長くなる理由について分かります。
正しい表現は「歯が長くなる」ではなく「歯が長くなって見える」です。
それは歯周病の影響で歯肉が退縮するためで、
歯肉が下がることで歯の根元が露出してしまい、一見歯が長くなったように見えるのです。

月島 勝どき 歯医者なら『YUZ DENTAL tsukishima』