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歯科コラム

審美歯科治療に健康保険は適用されますか?

2018年06月08日

中央区月島勝どきの歯医者さん、YUZ DENTAL tsukishimaです。
今回のテーマは「審美歯科治療と健康保険について」です。
歯科医院で対応している治療は、病気を治すための治療だけではありません。

美しさを手に入れることを目的とした治療…すなわち審美歯科治療にも対応しているのです。
最も、審美目的とは言え治療は治療ですから、当然のように健康保険が適用されると思うかもしれません。
しかし審美歯科治療に健康保険は適用されず、今回はそのことについての説明をしていきます。

健康保険適用の基準

審美歯科治療に健康保険が適用されないのは、健康保険適用の基準を満たしていないからです。
健康保険適用の基準を簡単に説明すると、「健康目的のために必要でなおかつ最低限の治療」です。
いずれの審美歯科治療もこの基準を満たしておらず、そのため健康保険が適用されないのです。
では実際に健康保険適用の基準を満たしていないか、それぞれの審美歯科治療で考えてみましょう。

・セラミック治療…健康目的ではあるものの、必要最低限の治療ではないため基準外
・インプラント…健康目的ではあるものの、必要最低限の治療ではないため基準外
・ホワイトニング…健康目的でなく完全に審美目的のため基準外
・歯列矯正…健康目的ではあるものの、絶対に必要な治療ではないため基準外
・オーダーメイドの入れ歯…健康目的ではあるものの、必要最低限の治療ではないため基準外

このように中には健康目的の治療がありますが、必要最低限の治療とは言えないものばかりです。
また、ホワイトニングは完全に審美目的の治療ですから、やはり健康保険適用の基準を満たしていません。

健康保険が適用される審美歯科治療

審美歯科治療の中には例外的に健康保険が適用されるケースがあり、
それがセラミック治療とインプラントです。

ハイブリッドセラミック

セラミックはいくつか種類があり、その中のハイブリッドセラミックは健康保険が適用されるケースがあります。
ただし従来のハイブリッドセラミックとは別物で、審美性や機能性においていずれも劣ります。
また従来のハイブリッドセラミックと別物である点から、
従来のハイブリッドセラミックに健康保険が適用されるということにはなりません。
製品、治療対象となる歯が限定されており、なおかつ対応できる歯科医院も一部のみとなっています。

インプラント

平成24年の4月以降、一定の基準を満たした場合はインプラントに健康保険が適用されるようになりました。
ただしその基準は非常に厳しく、患者さん側だけでなく治療を行う歯科医院側にも基準が定められています。
まず、患者さん側に定められた基準は次のとおりです。

・医科の保険医療機関の主治医によって生まれつきの病気と診断され、顎骨の1/3以上が連続して欠損している場合
・腫瘍や顎骨骨髄炎などの病気、もしくは事故によって顎骨の1/3以上を失った場合
・顎の骨の形成不全であること

…まとめると病気や事故が原因での顎骨の欠損が前提となっており、
欠損の度合いにも一定以上の割合が定められています。
このため、少なくとも審美目的としたインプラントでは100%健康保険は適用されません。

では次に、歯科医院側に定められた基準に注目してみましょう。

・病院(入院用のベッドは20床以上ある施設)になる歯科、もしくは口腔外科である
・下記のいずれかに該当する歯科医師が、常勤で2名以上配置されている
「その病院の歯科、または口腔外科で5年以上の治療経験を持つ」
「インプラント義歯の治療経験を3年以上持つ」
・当直体制、国が定めている医療機器、医薬品などの管理が整備されている

…まとめると、入院用のベッドの床数から判断して街医者と呼ばれる規模の歯科医院では対応できません。
また、在籍する歯科医にも基準が定められているため、必然的に規模の大きな病院が対象になります。

審美以外の価値を考える

審美歯科治療は健康保険が適用されないため、それを理由に治療を断念する人も少なくありません。
確かに、審美目的だけで考えれば治療費は非常に高く感じてしまうでしょう。
しかしそれ以外の価値…つまり審美以外の価値を考えると、費用に見合った治療も存在します。

例えば歯列矯正は歯並びが改善されることで虫歯や歯周病を予防しやすくなり、
自分の歯を守れるという価値があります。インプラントは天然の歯と同じ感覚で噛めるという価値があります。
このように、審美歯科治療において実際には審美以外の価値があることも知っておきましょう。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、審美歯科治療と健康保険についてまとめます。

1. 健康保険適用の基準 :「健康目的のために必要で、なおかつ最低限の治療」が対象になる
2. 健康保険が適用される審美歯科治療 :セラミック治療とインプラント(適用の基準は本文参照)
3. 審美以外の価値を考える :審美歯科治療でも、審美以外の価値を得られるものがある

これら3つのことから、審美歯科治療と健康保険について分かります。
病院の治療費に健康保険が適用されないのはごく稀なケースと思うかもしれませんが、
実際にはそうでもなく、例えば美容整形の類の治療費はいずれも健康保険が適用されません。
健康保険は文字どおり健康目的の治療に適用される保険であり、審美が目的の治療には適用されないのです。

月島 勝どき 歯医者なら『YUZ DENTAL tsukishima』