歯科コラム
インプラントなら歯周病にはなる心配はないですか?
2018年12月17日
中央区月島勝どきの歯医者さん、YUZ DENTAL tsukishimaです。
今回のテーマは「インプラント周囲炎について」です。インプラントは、上部構造とインプラント体とアバットメント、これら3つのパーツから成り立っています。
天然の歯に限りなく近い感覚を得られるインプラントですが、これら3つのパーツは当然全て人工物です。さて、この事実からインプラントはケアが楽だと思う方もいるかもしれません。何しろ天然の歯ではないため、虫歯や歯周病になることはないと考えるからです。
しかしそう考えるのは間違いです。確かにインプラントが虫歯になることはないですが、歯周病になることはあり、それをインプラント周囲炎と呼びます。
人工物のインプラントが歯周病になる理由
そもそも人工物であるインプラントがなぜ歯周病になるのか?…その点が不思議に思う方も多いでしょう。まずこれについて説明すると、歯周病は歯の病気ではないからです。虫歯は歯の病気ですから、確かに人工の歯であるインプラントが虫歯になることはありません。
しかし、歯周病は歯の病気ではなく歯の骨の病気であり、歯の骨が存在する以上、例え歯が人工物であったとしても発症の可能性はあるのです。つまり、インプラントの周囲に歯の骨がある時点で歯周病になるリスクは常にあるということです。
インプラント周囲炎の原因
インプラント周囲炎はインプラントの歯周病ですから、発症の原因菌は歯周病菌です。そして歯周病菌はプラークの中に含まれるため、歯周病同様に不充分なケアによるプラークの蓄積が原因となります。
ケアが不充分だとプラークコントロールがうまくいかず、口の中でプラークが停滞するため、その時に歯周病菌が悪さしてしまうのです。また、噛み合わせの悪さや喫煙が原因となってインプラント周囲炎になるケースもあります。
インプラント周囲炎の症状
インプラント周囲炎になるとインプラントの周囲の歯肉に炎症が起こります。さらにインプラントを支えている歯の骨にも炎症が起こり、そうなると歯肉の腫れ、歯肉からの出血、歯肉の退縮などの症状が起こります。
さらに進行すると歯の骨が溶かされるため、インプラントが脱落してしまいます。このように症状は歯周病と同じですが、一つだけ歯周病とインプラント周囲炎とで大きく違う点があります。それは、インプラント周囲炎は歯周病に比べて格段に進行が早いことです。
インプラント周囲炎の進行が早い理由
なぜインプラント周囲炎は歯周病に比べて進行が早いのか?…それはインプラントが人工物だからです。本来、歯の周囲の組織には栄養血管が含まれており、歯周病になった時に抵抗する力が働きます。これはどんな病気にも言えることで、栄養を摂取すれば病気と戦えますからね。
しかしインプラントは人工物ですから、そのため周囲の栄養血管が少ないのです。ですから炎症が起こってもそれに抵抗する力が弱く、病気に負けて進行を許してしまうのです。このためインプラント周囲炎は進行が早く、つまりそれは重症化しやすいと表現することもできます。
インプラント周囲炎を予防するには
インプラント周囲炎の予防方法は歯周病のそれと同じです。デンタルフロスや歯間ブラシを使った精密な歯磨き、生活習慣の改善による免疫力向上が予防のメインです。しかし、もう一つ忘れてはならないのがメンテナンスです。
インプラントは治療後に定期的なメンテナンスの通院が必要になりますが、このメンテナンスの通院を無視してしまうとインプラント周囲炎になるリスクが高まります。また、メンテナンスを受けることでインプラントを早期発見できるため、重症化を防ぐこともできます。
噛み合わせの問題
インプラントの治療後、噛み合わせに違和感があったらすぐに歯科医院に行きましょう。この場合、インプラントによって噛み合わせが悪くなっている可能性がありますし、噛み合わせの悪さによってインプラントに負担をかけるとインプラント周囲炎が起こりやすくなります。
また例え噛み合わせに問題なくても、日常生活を過ごす中で噛み合わせは徐々にずれていきます。それを改善するためにも、定期的にメンテナンスを受けて噛み合わせの調整をしなければなりません。噛み合わせを気にする人は少ないですが、噛み合わせの悪さはこうした病気を引き起こす原因になります。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、インプラント周囲炎についてまとめます。
1. 人工物のインプラントが歯周病になる理由 :歯周病は歯の病気ではなく歯の骨の病気のため
2. インプラント周囲炎の原因 :不充分なケアによるプラークの蓄積
3. インプラント周囲炎の症状 :歯肉に炎症が起こり、歯肉の腫れや出血、進行するとインプラントが脱落する
4. インプラント周囲炎の進行が早い理由 :インプラントの周囲は栄養血管が少ない
5. インプラント周囲炎を予防するには :精密な歯磨き、生活習慣の改善、メンテナンス
6. 噛み合わせの問題 :噛み合わせが悪いことは実は大きな問題で、インプラント周囲炎になりやすくなる
これら6つのことから、インプラント周囲炎について分かります。まとめると、人工物であるインプラントが歯周病になるのは歯周病が歯の病気ではないからです。歯周病は歯の骨の病気であり、インプラントを支える歯の骨は人工物ではありません。
このため、歯の骨が病気になることは決して特殊ではないのです。そしてインプラントの歯周病のことをインプラント周囲炎と呼び、進行するとインプラント脱落を引き起こす危険な病気です。
月島 勝どき 歯医者なら『YUZ DENTAL tsukishima』