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歯科コラム

歯周病は歯の病気ではないのに、なぜ歯磨きが予防になるのですか?

2019年06月21日

中央区月島勝どきの歯医者さん、YUZ DENTAL tsukishimaです。
今回のテーマは「歯周病の発症と予防について」です。
歯周病は「歯の周りの病気」の文字が示すとおり、歯の骨の病気です。

ですから、歯が抜けるなど歯に症状が及ぶものの、発症する箇所は歯ではありません。
そこで疑問なのが歯周病の予防方法で、なぜ歯磨きで歯周病を予防できるのでしょうか。
歯の病気ではない歯周病を歯磨きで予防する…それは一見矛盾していると感じる人も多いでしょう。

歯周病はどうやって発症するのか

歯周病は細菌による感染症であり、原因菌となるのは嫌気性菌と呼ばれる細菌です。
嫌気性菌は空気を嫌いますから、例え口の中に存在してもそこに空気があれば死んでしまいます。
ですから嫌気性菌は身を潜め、空気の届きにくい場所に棲み処を形成するのです。

それは主に歯と歯肉の境目であり、歯周ポケットと呼ばれる溝の中です。
最も、歯周ポケットの溝は浅いですから、そのため嫌気性菌はそこに長く留まることはできません。
しかし、嫌気性菌が長く留まってしまうと歯肉に炎症が起こり、歯周ポケットの溝が深くなります。

これが歯周病の始まりです。歯周ポケットの溝が深くなれば、
嫌気性菌はそこを棲み処として繁殖してしまい、やがて悪さをするようになって歯の骨を溶かします。
そうなると歯周病は進行してしまい、最終的には歯が抜け落ちるほど骨を溶かしてしまうのです。

歯磨きの必要性

上記の説明から、歯周病の予防に歯磨きが必要なことが分かります。
「歯周病の原因菌である嫌気性菌は歯周ポケットに留まろうとする」、
「嫌気性菌が歯周ポケットに長く留まることで歯肉に炎症が起こって歯周病が始まる」と説明しました。

逆に言えば、嫌気性菌をすぐに除去すれば歯肉の炎症…つまり歯周病を防げるわけで、
除去のために必要なのが歯磨きになるのです。正確に言えば、嫌気性菌はプラークに含まれていますから、
歯に付着したプラークを歯磨きで除去することが歯周病の予防になるのです。

ちなみに、歯石ができると歯周病になりやすい、さらには歯周病が進行しやすいとされていますが、
歯石はプラークが石灰化したものであり、歯磨きによる磨き残しが原因で発生します。
つまり、例え歯磨きしても磨き残しが多くなると、やはり歯周病が発症してしまうのです。

歯磨きの精度を高めるには

歯周病予防のためには嫌気性菌を含んだプラークの除去が必要で、そのための方法は歯磨きです。
それが歯周病予防において歯磨きが必要な理由ですが、磨き残しが多いと予防効果が低くなり、
歯周病を予防するには次のような方法で歯磨きの精度を高めなければなりません。

デンタルフロスや歯間ブラシの使用

デンタルフロスや歯間ブラシを使えば、プラークの除去率が2割高まります。
ちなみにブラッシングだけの歯磨きの場合、プラークの除去率は6割程度とされていますから、
デンタルフロスや歯間ブラシを使うことで8割のプラークを除去することが可能です。

プラークテスターの使用

プラークテスターを使えば、磨き残したプラークを染色して目に見える状態にできます。
本来プラークは無色透明なため、歯に付着していてもそれを確認することができません。
それができるようになることで確実に磨き残しを減らせますし、自分の歯磨きの弱点も分かります。

ブラッシング指導を受ける

歯科医院の定期検診や予防歯科を受診すると、その中でブラッシング指導を受けられます。
これは、自分の歯並びに合った効果的な歯の磨き方を覚えるためのもので、
指導内容を実践することで磨き残しの少ない効率の良い歯磨きが可能です。

…手軽な方法ではないため別に紹介すると、これ以外に「矯正治療」も効果的です。
矯正治療は歯並びを改善する治療ですから、一見完全な審美目的のイメージがあるかもしれません。
しかし歯並びを改善すれば歯が磨きやすくなるため、矯正前に比べて磨き残しを減らせます。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、歯周病の発症と予防についてまとめます。

1. 歯周病はどうやって発症するのは :嫌気性菌が歯周ポケットに留まり、歯肉が炎症を起こして発症する
2. 歯磨きの必要性 :歯周病の原因菌はプラークに含まれており、予防のためには歯磨きが必要
3. 歯磨きの精度を高めるには :デンタルフロスや歯間ブラシの使用、プラークテスターの使用など

これら3つのことから、歯周病の発症と予防について分かります。
歯周病予防のためには歯磨きが必要と説明しましたが、あくまでそれは予防のための基本です。
歯周病をしっかりと予防するには、それ以外に生活習慣の改善と定期検診の受診が必要です。

生活習慣の改善が必要なのは歯周病が生活習慣病であるためで、
日常生活の中には歯周病の発症のリスクを高める要因がいくつも潜んでいます。
また定期検診は歯のクリーニングなど、歯周病予防のための充実した治療を受けられます。

月島 勝どき 歯医者なら『YUZ DENTAL tsukishima』