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歯科コラム

神経が死ぬと歯の痛みがおさまるなら、神経は死ぬことはむしろメリットなのですか?

2019年08月22日

中央区月島勝どきの歯医者さん、YUZ DENTAL tsukishimaです。
今回のテーマは「神経の役割とそれを失う問題」です。
虫歯が進行すると歯が痛くなりますが、さらに進行することでその痛みはより酷くなります。

これは虫歯が神経まで進行したため、神経に炎症が起こってズキズキとした激痛をもたらしているのです。
ではさらに虫歯が進行するとどうなるか?…今度は一変して痛みを全く感じなくなり、
これは神経が死んでしまったのが原因です。と言うことは、神経が死ぬことはプラスと言えるのでしょうか。

虫歯が放置されている問題

神経の状態以前に、まず考えなければならないのは虫歯が放置されているということでしょう。
神経が死ぬことはメリットなのか、デメリットなのか?…それについては後で解説していきますが、
現状虫歯が神経まで進行しており、神経が死んだ後も虫歯は進行し続けるという状況が問題です。

一度進行した虫歯は自然には治らず、神経が死んで痛みを感じなくなったとしても虫歯菌は生きています。
ここまで虫歯が進行すると既に歯は原型を失っており、治療したとしても歯を残せない可能性が高いでしょう。
そうなると抜歯で処置するしかなく、その後は入れ歯やブリッジやインプラントでの対処が必要です。

また、虫歯を放置し続けると歯を破壊した虫歯菌が今度は血液に入ります。
そして血管を通じて全身に回り、最悪なケースとして脳梗塞や心筋梗塞が起こるのです。
このため、神経の状態以前にそもそも虫歯を放置している現状に大きな問題があると思ってください。

神経が死ぬことの問題

神経が死ねば虫歯の痛みは解消されますが、それは決してメリットではありません。
単に痛みの有無だけで考えれば神経が死ぬことがメリットに思えるかもしれませんが、
失った神経は二度と再生することはなく、そうなると次の問題が起こります。

自覚症状を失う

痛みというのは辛い反面、身体の異常に気づくための貴重なきっかけになります。
実際、お腹や胃が痛くなったせいで検査を受け、思わぬ病気が発覚するケースは珍しくないですからね。
つまり、歯の痛みを感じなくなることは、歯の異常に今後気づけなくなることを意味するのです。

歯が脆くなる

神経は歯に栄養を届ける役割を担っており、神経が死ねばその役割を果たす器官が失われてしまいます。
当然歯に栄養が行き届かなくなり、そのため歯はやわらかく、そして脆くなってしまうのです。
また、神経を失った歯は見た目にも影響し、黒く変色して見た目が悪くなってしまいます。

虫歯が進行しやすくなる

神経は虫歯の進行を食い止める役割も担っており、虫歯菌の進む道を塞いでそれ以上の進行を食い止めます。
実際には完全に食い止めることはできないものの、進行を遅くする効果はあるでしょう。
しかし、神経を失えばその防御機能も働かなくなり、虫歯が進行しやすくなってしまうのです。

大きな治療が必要になる

「虫歯治療=歯を削って詰め物で処置する」のイメージですが、それは象牙質まで進行した虫歯の場合です。
神経まで進行した虫歯の場合はそれだけでは治らず、
神経の除去、根管の清掃と消毒を行うための根管治療もしなければなりません。

根管治療について

神経が死ぬことはメリットではないとされる一方で、虫歯治療において神経を抜くことがあります。
失ってはならない神経を治療で抜くのは一見矛盾しているように思えますが、
虫歯治療で神経を抜くのはそうしなければならないほど虫歯が進行しているためです。

つまり、残した方が良い神経を残せないほど虫歯が重症化しており、
この場合は虫歯が深刻な状態になっていると考えなければなりません。
さて、神経を抜く際には上記でも少し触れましたが根管治療を行います。

根管治療とは、細菌に感染した神経を除去して根管の清掃と消毒を行う治療で、
根管の形状が人それぞれ異なることから難易度の高い治療とされています。
歯を削るだけすむはずの虫歯治療が、虫歯を放置することでここまでの治療が必要になってしまうのです。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、神経の役割とそれを失う問題についてまとめます。

1. 虫歯が放置されている問題 :神経以前に、神経まで進行するほど虫歯が放置されていることがまず問題
2. 神経が死ぬことの問題 :自覚症状を失う、歯が脆くなる、虫歯が進行しやすくなるなど
3. 根管治療について :神経まで進行した虫歯は削るだけでは治らず、根管治療を行わなければならない

これら3つのことから、神経の役割とそれを失う問題について分かります。
虫歯が神経まで進行すること、神経を抜くこと、神経が死ぬこと、いずれも大きな問題であり、
治療を受ける患者さんにとっても大きな負担となるでしょう。

しかし、虫歯を放置しなければここまで虫歯が重症化することはないですし、
定期検診を受けている人なら完全な初期段階の時点で虫歯の発見と治療が可能でしょう。
つまり神経が死ぬことは怖いことですが、虫歯を放置さえしなければそんな事態にはならないのです。

月島 勝どき 歯医者なら『YUZ DENTAL tsukishima』