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歯科コラム

虫歯と歯周病になった場合、歯周病治療を優先するのはなぜですか?

2019年09月17日

中央区月島勝どきの歯医者さん、YUZ DENTAL tsukishimaです。
今回のテーマは「虫歯よりも歯周病の治療を優先する理由」です。
虫歯と歯周病の両方にかかってしまった場合、基本的には歯周病の治療が優先されます。

最も、患者さんとすれば虫歯を先に治療したいと思うかもしれませんが、
後のことを考えればむしろ歯周病を先に治療した方が良いのです。
そこで、ここでは虫歯よりも歯周病の治療を優先する理由を説明します。

歯周病治療を優先する理由

歯周病は正確には歯の骨の病気ですが、進行すると歯を支える骨を溶かしてしまいます。
そして、歯周病になると歯肉にも影響をもたらし、歯肉に炎症が起こります。
一方、虫歯は歯の病気であり、虫歯と歯周病にかかると両方を治療しなければなりません。

さて、歯の骨や歯肉と歯を、建物に例えて考えてみてください。
この場合、歯の骨や歯肉は土台であり、歯は土台に建つ建物になりますね。
つまり、歯周病の治療は土台の修理に等しく、虫歯の治療は建物の修理に等しいのです。

この例で考えると分かりやすいと思いますが、建物を修理するには土台が安定していなければならず、
なぜなら土台が不安定では建物の修理がままならないですからね。
そのため、虫歯よりも歯周病の治療を優先するのです。

虫歯治療を優先するケース

歯周病治療を優先するのはあくまで基本的なケースであり、状態次第では虫歯の優先的な治療も可能です。
例えば、神経まで虫歯が進行している場合は痛みが酷く、
まずは痛みを解消しなければ患者さんも大きくなってしまうでしょう。

これは歯科に限ったことではないですが、治療において必要なのは患者さんの負担を減らすことで、
虫歯の痛みが辛い場合はまずはその解消…つまり、虫歯の治療を優先できるのです。
ですから、虫歯の痛みが辛い時には我慢せずにその旨を必ず歯科医に伝えてください。

とは言え、あくまでそれはやむを得ない場合の例外的なケースと捉えましょう。
歯周病によって土台がぬかるんでいる以上、建物に該当する虫歯の治療には危険を伴いますから、
歯科医はできるだけ歯周病の治療を優先しようとするのです。

虫歯治療を優先した場合のリスク

では、歯周病よりも虫歯治療を優先した場合はどうなるのでしょうか。
そこで、虫歯治療を優先した場合に起こるリスクについてお伝えします。

詰め物や被せ物の接着が弱くなる

歯周病になると、歯肉へのささいな刺激に対して出血が起こりやすく、
そのため詰め物や被せ物で処置した時にも出血してしまうことがあります。
そうなると詰め物や被せ物に血液が混ざってしまい、その影響でこれらの接着が弱まってしまうのです。

詰め物や被せ物のサイズが合わなくなる

歯周病は歯の骨の病気ですが、歯肉にも異常をもたらし、その一つが歯肉退縮です。
歯肉退縮が起こると歯肉の高さが下がってしまうのですが、
先に虫歯治療を行った場合、歯肉退縮によって詰め物や被せ物のサイズが合わなくなります。

虫歯治療の精度が落ちる

虫歯治療を優先する場合、土台…つまり歯肉が不安定な状態で虫歯を治療しなければなりません。
患部を削るにしても詰め物で処置するにしても治療に精密さが求められますが、
歯肉が揺れて不安定な状態では、どうしてもこれらの治療の精度が低下してしまいます。

歯周病は怖い病気である

虫歯と歯周病の両方にかかってしまった人の多くは、虫歯治療を優先したいと考えます。
何よりこれは痛みの辛さが理由であり、痛みを感じない歯周病よりも痛みを感じる虫歯の方が辛いと感じます。
ただ、歯周病も虫歯同様に怖い病気であり、決して無視できる病気ではありません。

歯周病になってそれが進行すると、歯槽骨が溶かされていきます。
この歯槽骨は歯を支える役割を担っており、歯槽骨が溶かされることは歯が支えを失うことを意味します。
支えを失った歯は不安定な土台に建つ建物に等しい状態であり、やがて歯は抜け落ちてしまうのです。

また、歯周病は痛みを感じないことから怖くない病気に思われがちですが、
むしろ痛みという辛い自覚症状がないからこそ怖く、なぜなら病気の発症を自覚しにくいからです。
「いつの間にか発症していつの間にか進行する」…その特徴から歯周病は「静かなる病気」と呼ばれます。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、虫歯よりも歯周病の治療を優先する理由についてまとめます。

1. 歯周病治療を優先する理由 :歯周病治療を優先しないと、安定した状態で虫歯治療を行えない
2. 虫歯治療を優先するケース :虫歯の痛みが辛い場合、虫歯治療を優先するケースもある
3. 虫歯治療を優先した場合のリスク :詰め物や被せ物の接着が弱くなる、サイズが合わなくなるなど
4. 歯周病は怖い病気である :痛みを感じないことで軽視されがちだが、むしろそれが歯周病の怖さである

これら4つのことから、虫歯よりも歯周病の治療を優先する理由について分かります。
この理由については「虫歯治療=建物の修理」、「歯周病治療=土台の修理」と例えると分かりやすく、
建物の修理を行うには土台が安定していなければならないからです。
「土台を安定させてから建物を修理する」という意味で、歯周病治療を優先します。

月島 勝どき 歯医者なら『YUZ DENTAL tsukishima』