歯科コラム
虫歯治療で根管治療が必要と診断されましたが、どのような治療なのですか?
2021年05月14日
中央区月島勝どきの歯医者さん、YUZ DENTAL TSUKISHIMAです。
今回のテーマは「虫歯の進行と根管治療」です。
虫歯の治療方法と聞くと、歯を削って詰め物を入れる治療を想像する人が多いと思います。
しかし、あくまでそれは一例であり、虫歯の治療方法は虫歯の進行度によって異なります。
とくに、虫歯が酷く進行していた場合は神経まで細菌に侵されているため、
神経・細菌の除去を目的とした根管治療を行う必要があるのです。
根管治療とは
根管治療とは歯の根の治療であり、歯髄が炎症・感染を起こしている場合に行われます。
今回は虫歯が原因による根管治療について解説していますが、
歯の亀裂・外傷などが原因となって必要になるケースもあります。
なお、歯髄とは歯の根の中にある神経・血管などをあわせた呼び方であり、
歯髄が通っている管のことを根管と呼びます。
つまり、根管治療は「歯の根の中にある神経・血管が通っている管の治療」を意味するのです。
神経を除去する必要性
根管治療では神経を除去しますが、神経を除去することには次のようなデメリットがあります。
- ・痛みを感じなくなることで、虫歯が発症しても気づかなくなる
- ・栄養が供給されなくなることで、歯が脆くなって割れやすくなる
- ・神経による防御機能が失われ、虫歯が進行しやすくなる
- ・歯が黒く変色して、ホワイトニングをしても効果がない
このように神経を失うことはデメリットだらけですが、それでも神経を除去する必要があるのは、
神経が虫歯の原因菌に侵されていて、除去しなければならない状態になっているからです。
仮に神経を除去しなかった…つまり根管治療を行わず、炎症や感染をそのまま放置した場合、
歯がズキズキと痛み、歯の根の周囲の組織に炎症が広がったり、歯肉が腫れたりします。
さらに、リンパ節が腫れたり発熱したりするなど、身体全身に悪い影響が出ることもあるのです。
根管治療の流れ
根管治療の流れを簡単にまとめると、次のようになります。
STEP1. 検査
根管治療が本当に必要なのかを診断するための検査を行います。
- ・レントゲン・CT撮影
- ・口腔内写真
- ・歯髄電気診断
- ・温度診断
- ・マイクロスコープでの確認
検査方法にはこれら5種類がありますが、どの検査を行っているかは歯科医院によって異なります。
当然、多くの検査を行う歯科医院ほど精密に診断できることになります。
STEP2. 虫歯・神経の除去
本格的な根管治療を行う前に、虫歯を全て除去します。
その後、虫歯の原因菌に汚染された神経を除去して、細菌を綺麗に除去します。
STEP3. 根管の拡大と形成
神経を除去した後は、細菌に侵された根管の内部を専用の器具で清掃します。
その際、根管という管の幅を広げていき、薬を詰めるためのスペースを確保します。
根管を広げないと清掃しづらく、薬を詰めることができるだけのスペースもありません。
STEP4. 仮の蓋で塞ぐ
根管の内部の消毒を終えた後、仮の蓋で塞いで処置します。
蓋をするのは消毒した根管に細菌が入り込むのを防ぐためで、
蓋をしなければ食べ物はもちろん、唾液の中に混ざっている細菌が入り込んでしまうのです。
STEP5. 根管充填
根管の内部は一度の治療で全て綺麗になるとは限らないため、上記までのSTEP2~STEP4を繰り返すこともあります。
そして、根管形成と消毒が万全になってから、根管の内部に隙間なく薬を詰めて処置します。
この時、熱い器具を使用することになりますが、これは熱で薬剤を溶かすのが目的です。
STEP6. 土台の形成
根管治療が必要な場合、歯は充分な歯質が残っていない可能性が高いでしょう。
そのため、歯を補強する意味で土台を作り、被せ物が外れにくくなるよう処置します。
土台の素材はさまざまで、例えば樹脂・金属などが挙げられます。
STEP7. 型取り
土台の上に立てる被せ物を作るための型取りを行います。
被せ物の素材もさまざまで、患者さんは好きな素材の被せ物を選択可能です。
仮に被せ物を立てなかった場合、生じた隙間から細菌が入り込んでしまいます。
STEP8. 被せ物の処置
型取りをした後、10日前後で被せ物が完成します。
後は被せ物をセットして完了ですが、嚙み合わせを確認した上で調整を行うこともあります。
これで根管治療は終了ですが、再治療が必要になってしまうケースもあります。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、虫歯の進行と根管治療についてまとめます。
1. 根管治療とは :歯の根にある神経・血管が通っている管の治療
2. 神経を除去する必要性 :神経を失うデメリットは大きいが、それでも除去が必要なほど虫歯が進行している
3. 根管治療の流れ :検査、虫歯・神経の除去、根管の拡大と形成、仮蓋、根管充填、土台形成、被せ物
これらのことから、虫歯の進行と根管治療について分かります。
根管治療の内容を見ると、いかに大きな治療か分かると思います。
もっとも、虫歯が原因による根管治療の場合、虫歯を放置さえしなければ根管治療は必要ありません。
虫歯というのは放置するほど症状が酷くなり、症状が酷くなるほど大きな治療が必要になってしまうのです。
月島 勝どき 歯医者なら『YUZ DENTAL tsukishima』