歯科コラム
歯が痛くなった時、すぐ歯科医院に行けば歯を削らずに虫歯を治療できますか?
2021年05月28日
中央区月島勝どきの歯医者さん、YUZ DENTAL TSUKISHIMAです。
今回のテーマは「虫歯の症状と進行」です。
虫歯の治療は、虫歯が進行するほど大きな治療が必要になってしまいます。
当然、簡単な治療で虫歯を治せた方が患者さんにとっても負担が小さく、
そのためには虫歯の早期治療が欠かせないでしょう。
だとすれば、歯が痛くなった時にすぐに歯科医院に行けば、虫歯は簡単に治すことができるのでしょうか。
「虫歯=歯が痛む」とは限らない
まず知っておかなければならないのは、「虫歯になると歯が痛むとは限らない」ということです。
- ・初期の虫歯
- ・神経を失った歯の二次虫歯
- ・進行して神経が死んでしまった虫歯
これらの虫歯では痛みを感じることがなく、
特に注意が必要なのは「初期の虫歯」と「神経を失った歯の二次虫歯」です。
初期の虫歯はいわば虫歯になりたての状態であり、歯の表面のみ虫歯になった状態のため痛みはありません。
また、「神経を失った歯の二次虫歯」は最初の虫歯治療で神経を失っているため、
痛みという感覚がなく、虫歯が再発していくら進行しても痛みを感じることがないのです。
歯を削らずに虫歯を治せるケース
歯を削らずに虫歯を治すことができるのは、あくまで初期段階の虫歯のケースです。
しかし、歯が痛むという時点で虫歯は象牙質まで進行していますから、
歯が痛くなった時点で歯科医院に行ったとしても、歯を削ることになる可能性はあるでしょう。
もちろん、虫歯の状態によっては歯を削らずに治せる可能性はありますし、
そもそも歯が痛くなった理由が虫歯とは限らず、エナメル質の損傷による知覚過敏の可能性も考えられます。
しかし、虫歯が既に進行している以上、この時点では歯を削らずに治せる保証はありません。
歯の進行と歯の痛み
虫歯で歯が痛くなるのは、虫歯が進行して穴が象牙質に到達するためです。
刺激に敏感な象牙質が露出することで、冷たさなどが刺激となって痛みを感じてしまうのです。
そのため、歯に痛みを感じた時点で歯科医院に行っても、その虫歯は進行していると診断されるでしょう。
歯を削らずに虫歯を治すためには、初期段階…つまり虫歯が進行する前に治療しなければなりません。
とはいえ、初期の虫歯に痛みはないため、その時点で虫歯を自覚するのは難しいでしょう。
事実、あなたの歯が現在痛くないとして、あなたは虫歯を発症しているとは考えもしないのではないでしょうか。
初期の虫歯を発見するには
虫歯を初期段階で治すためには、歯に痛みを感じる前に虫歯を発見しなければならず、
すなわち自覚症状が一切ない状態で虫歯を自覚することを意味します。
それは一見難しく思えますが、歯科医院で定期検診を受診している人は難しくありません。
定期検診では歯の健康状態を確認するため、虫歯が発症していれば医師が気づきます。
例え痛みのない初期の虫歯だとしても、確実に発見して対処することができるのです。
そうすれば、初期段階で虫歯を発見して、歯を削らずに治すことができるでしょう。
本来、定期検診は虫歯を予防するために受診する人が多いですが、
一方で虫歯を早期発見できるメリットも含まれており、定期的に受診することで虫歯の重症化を確実に防げます。
つまり、虫歯を削らずに治すためには、定期検診の受診が欠かせないということになります。
歯周病にも痛みはない
虫歯とは別ですが、実は歯周病も歯に痛みを感じることはありません。
もっとも、歯がグラつくことで嚙み合わせた時に強い痛みを感じることはありますが、
それは歯周病が重症化している場合であり、初期段階の歯周病に痛みはないのです。
そのため、歯が痛くないとしても初期の虫歯が発症している可能性がありますし、
虫歯だけでなく歯周病も発症している可能性があり、「歯が痛くない=口の中が健康」とは限らないのです。
つまり、歯の痛みの有無は口の中の健康状態を判断する根拠にはならないということです。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、虫歯の症状と進行についてまとめます。
1. 「虫歯=歯が痛む」とは限らない :初期段階の虫歯、神経を失った歯の二次虫歯などの場合は痛みを感じない
2. 歯を削らずに虫歯を治せるケース :初期の虫歯の場合。虫歯は痛みを感じた時点で既に進行している
3. 虫歯の進行と歯の痛み :虫歯で歯が痛むのは、虫歯が進行して刺激に敏感な象牙質まで到達するため
4. 初期の虫歯を発見するには :自覚するのは難しいため、歯科医院で定期検診を受診するのが確実
5. 歯周病にも痛みはない :初期の虫歯だけでなく、歯周病にも痛みはない
これら5つのことから、虫歯の症状と進行について分かります。
虫歯になると歯が痛くなるのは事実ですが、虫歯になった瞬間に歯が痛くなるわけではありません。
最初、虫歯は歯の表面に発症しますし、歯の表面はエナメル質によって保護されています。
そのため発症時には痛みを感じることがなく、進行して象牙質に到達した時点で歯が痛くなるのです。
その意味では、歯が痛くなった時点で歯科医院に行ったとしても、それは虫歯の早期治療にはなりません。
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