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歯科コラム

ホワイトニング歯磨き粉で歯を磨いても、全然白くなりません

2021年10月08日

 
中央区月島勝どきの歯医者さん、YUZ DENTAL TSUKISHIMAです。

今回のテーマは「ホワイトニングで歯が白くなる仕組み」です。

ドラッグストアで販売されている歯磨き粉の中には、ホワイトニングの効果を謳っているものがあります。

 
そのため、歯が変色している人は効果に期待して購入した人も多いでしょう。

しかし、ホワイトニング歯磨き粉で歯を磨いても白くなることはなく、

その理由はホワイトニングで歯が白くなる仕組みを知ることで分かります。

 

歯磨きしても象牙質は白くならない

一言で歯といっても、歯の中にはさまざまな組織が存在しています。

そして、歯が変色している場合は変色しているのは象牙質であり、象牙質とは歯の主体をなす組織です。

ここで問題なのは、象牙質は歯の表面に存在しないということです。

 

歯の表面はエナメル質で覆われており、これが無色透明であるため奥にある象牙質が透けてうつります。

歯磨きで磨けるのは歯の表面ですから、言い換えれば磨けるのはエナメル質のみになります。

一方、変色した象牙質はエナメル質の奥にありますから、歯磨きで磨くことはできません。

 

当然、ホワイトニング歯磨き粉を使って磨いてもそれは変わらず、

そもそもホワイトニング歯磨き粉で象牙質を白くすることは物理的に不可能です。

これが、ホワイトニング歯磨き粉を使っても象牙質が白くならない理由です。

 

ホワイトニングできない人もいます

では、ホワイトニング歯磨き粉は全く使う意味がないのでしょうか。

確かに、変色した象牙質を白くすることはできませんが、歯の表面の変色なら対処可能です。

 

  • ・カレーが付着した
  • ・ワインが付着した
  • ・コーヒーが付着した

 
たとえば、これらが原因による変色は歯の表面の着色ですから、これならホワイトニング歯磨き粉で除去できます。

ホワイトニング歯磨き粉は歯磨きで使用するものであり、歯磨きで対処できるのは歯の表面です。

 

つまり、歯の表面の着色であれば、ホワイトニング歯磨き粉を使えば綺麗に落とすことができるのです。

そう考えると、ホワイトニング歯磨き粉の効果はホワイトニングではなく、

「歯の表面のクリーニング」とイメージした方が分かりやすいかもしれません。

 

ホワイトニングの仕組み

歯科医療のホワイトニングなら、変色した象牙質を白くすることが可能です。

では、ホワイトニングはどのような仕組みになっているのでしょうか。

その答えは、「ホワイトニングの薬剤の効果によるエナメル質の構造変化」です。

 

本来、エナメル質は角ばった形状をしているのですが、薬剤の効果によって丸みを帯びた形状へと変化します。

そうすると光の乱反射が起こって奥の象牙質がうつらなくなり、歯が白くなったように見えます。

つまり、ホワイトニングでは歯を白くしているのではなく、歯を白く見せているのです。

 

この仕組みは、ガラスを例に挙げると分かりやすいでしょう。

「透明ガラス状のエナメル質を曇りガラス状へと変化させ、

エナメル質にマスキング効果をもたらして奥にうつるものを隠す」と考えれば、イメージしやすいですね。

 

ホワイトニングで白くできないケース

歯科医療のホワイトニングなら象牙質の変色に対応できますが、万能というわけではありません。

以下のケースにおいてはホワイトニングでも白くすることができません。
 

オフィスホワイトニング

歯科医院で医師によって治療を行う方法で、濃度の高い薬剤を使用します。

そのため、ホワイトニングの効果が出るのは早いですが、一方で後戻りするのも早いのが欠点です。

3つのホワイトニングの方法の中で、最もオーソドックスな方法といえるでしょう。
 

神経を失って変色した歯

虫歯の重症化などが原因で、歯の神経を失ってしまうことがあります。

神経を失った歯は黒く変色しますが、ホワイトニングではこの変色に対応することはできません。

つまり、神経を失ったことが原因で歯が変色した場合、ホワイトニングでも白くすることができないのです。

 

テトラサイクリンで変色した歯

テトラサイクリンとは、以前子どもの風邪薬に含まれていた抗生物質で、現在でも治療内容によって使用します。

このテトラサイクリンによって歯が変色してしまうことがあり、その場合はホワイトニングでもあまり効果がなく、

元々の色に比べて白くはなるものの、従来のホワイトニングのような効果は期待できません。

 

人工物

いわゆる詰め物・被せ物・入れ歯・インプラントなどの類です。

ホワイトニングで白くできるのは天然の歯のみであり、人工の歯を白くすることはできません。

もっとも、この場合は人工物の素材をセラミックにすることで審美性を高められます。

 

まとめ

いかがでしたか?

最後に、ホワイトニングで歯が白くなる仕組みについてまとめます。

 
1. 歯磨きしても象牙質は白くならない :歯磨きでは歯の表面しか磨けず、象牙質は表面の奥に位置するため

2. ホワイトニング歯磨き粉の意味 :カレーやコーヒーによる着色など、歯の表面の変色には対処できる

3. ホワイトニングの仕組み :エナメル質にマスキング効果をもたらすよう、薬剤によって構造変化させる

4. ホワイトニングで白くできないケース :神経を失って変色した歯、テトラサイクリンで変色した歯など

 
これらのことから、ホワイトニングで歯が白くなる仕組みについて分かります。

歯が変色している場合、それは象牙質の変色であり、象牙質は歯の表面の奥に存在する組織です。

歯磨きで磨けるのは歯の表面のみですから、ホワイトニング歯磨き粉を使っても白くなりません。

変色した象牙質を白くすることができるのは、歯科医療のホワイトニングです。

 
 

月島 勝どき 歯医者なら『YUZ DENTAL tsukishima』